[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ島根県東部の中海(なかうみ)に浮かぶ大根島には、天然記念物に指定されている「大根島の熔岩隧道(ずいどう)」(別名:幽鬼洞(ゆうきどう))と「大根島第二熔岩隧道」(別名:竜渓洞(りゅうけいどう))があります。
大根島は島全体が火山であり、主に玄武岩の溶岩からできています。流動性に富む玄武岩の溶岩は流れるうちに徐々に外側が冷え固まって薄皮のようになってきます。この薄皮の中の溶岩が流れ出してしまうとそこが空洞となりトンネルが形成されます (図1)。 幽鬼洞(写真1)大根島東部の遅江(おそえ)にある幽鬼洞は集落のなかにぽっかりと入口があります。この入口付近は広いのですが、中は思ったよりも狭く、背をかがめて入らなくてはなりません。 溶岩トンネルの内部は,年中清水をたたえ、気温も約15℃で一定しています。トンネル内壁には溶岩の流れた痕跡が観察できます。見学コースはリング状に約100mです(図2)。 竜渓洞(写真2)大根島の中央付近にある竜渓洞には、トンネルに上下に伸びたパイプ状の溶岩の通路があります。ここは「神溜り」とよばれ (図3)、下から溶岩がせり上がってきた様子が観察できます(写真3)。したがって,この場所はかつて溶岩が流れ出た火口と考えられます。ここでは,溶岩の表面に半円状に縄模様ができている「パホイホイ溶岩(縄状溶岩)」が観察できます。竜渓洞ではほかにも「千畳敷」から「みけの棚」付近で溶岩の流れた痕跡、火山性ガスの抜け穴、溶岩が流れ去った後に天井から溶岩がしたたり落ちた痕跡と考えられる「つらら石」などが観察できます。 この溶岩トンネルは約100mの長さがあります。 貴重な生物環境大根島の溶岩トンネルには、洞窟の環境に適応した貴重な生物も観察されます。溶岩トンネルの天井を埋めつくすように広がった放線菌、キョウトメクラヨコエビ、イワタメクラチビゴミムシなど多くの世界的にも珍しい生物が棲息しています。 いずれの溶岩トンネルも天然記念物に指定されていますので、ハンマーで叩いたり、岩石や生物の採取は一切できませんのでご注意下さい。 アクセスJR松江駅より松江市営バス八束町行きで40分、バス停:八束町中央下車,幽鬼洞は徒歩10分、竜渓洞は徒歩5分 JR松江駅より自家用車で30分 ※溶岩トンネルを見学するにはふるさと案内人の門脇和也さんに連絡し、事前の予約が必要です。 関連する情報
天然記念物などの指定情報
地質学的な意義大根島を構成する玄武岩溶岩は今からおよそ20万年前の中期更新世の火山活動で形成されたものです。当時は現在よりも寒冷な気候下にあり、陸上での氷河の発達等があったため、海水準は現在よりも60m以上低かったようです。大根島の玄武岩は海水準の低下した時期に陸上に噴出した溶岩で構成されており、溶岩の基底はほぼ平らであり,その厚さは中央の大塚山部分を除き60〜70mとなっています。 |