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嵩山(だけさん)

松江市上東川津町

かつて松江の町のどこからでもみえた嵩山と和久羅山

  1. 嵩山駐車場
  2. 熊井の滝
  3. 道路工事で基盤岩(松江層)が確認された地点
  4. 和久羅山登山口と駐車場 (入り口に標識があります)
  5. 四季が丘東(四季が丘行きバスの終点)

キーワード:安山岩溶岩 和久羅山 熊井の滝 名水 中新世

(執筆:山内靖喜)

地図
国土地理院発行1:25000地形図「松江」より

[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義]


みどころ

写真1

写真1:涅槃仏あるいはメッチェン山と呼ばれる嵩山(左)と和久羅山(右) の遠景

松江の町の東側で中海の西岸にある嵩山と和久羅山(わくらやま)は一つの山塊をつくっています。この山塊はかつては松江の町のどこからでもみえ、それが人の寝姿にもみえるので、お釈迦様になぞらえて涅槃仏(ねはんぶつ)とか女性になぞらえてメッチェン山と呼ばれて市民に親しまれてきました(写真1)。嵩山の山頂には布自伎弥(ふじきみ)神社があり、その参道を兼ねた登山道の登り口が東川津にありますが、今では紙谷の奥に駐車場(地点(1))が作られており、そこから登山道が整備されていて、幼稚園児も登っております。大人の足では約30分の歩きで山頂(標高331m)に達します。前日に雨が降ったときなどは、路面に顔を出している赤褐色の岩の表面の粘土が溶け出して滑りやすいので気をつけて下さい(写真2)。登山道の途中からは松江の町と宍道湖(写真3)が、平らな山頂の北東端からは中海と大根島、弓ヶ浜半島そして日本海と大山が一望できます(写真4)。なお、和久羅山の登山道は西尾農道沿いの地点(4)に登り口があります。

写真2,3

写真4

写真4:嵩山頂上から中海、大根島、弓ヶ浜半島、日本海をみる


アクセス

車で行くのが最も便利です。国道9号線から西津田交差点でくにびき道路(国道485号線)に入り、約4km北進し、右折して国道431号線に入り、約2.5km東進して右折する。右折した道は松江刑務所前、松江養護学校前を通っており、約1km先でT字型交差点になります。そこを左折して約600m進むと真東に進む道があり、右折してその道を約1km進むと嵩山駐車場に着きます。駐車場の向かいに登山口があります。徒歩で行く場合は、路線バスで四季が丘(地点(5))までいき、そこから約1.5km歩くと登山口に着きます。


関連する情報

嵩山・和久羅山山塊の麓には有名な湧水が幾つかあります。とくに、干ばつでも涸れたことがないといわれている熊井の滝(地点(2))、日量2000トンの湧水といわれている大海崎の目無水(めなしみず)、大井町大井神社横の大井の池が有名で、目無水と大井の池は島根県の名水百選に選ばれています。さらに、目無水沖の中海湖底からも水が湧き出ております。これらの湧水はこの山塊を作る安山岩溶岩から湧き出ており、この山塊は優良な水瓶となっております。


天然記念物などの指定情報

宍道湖北山県立自然公園に指定されている。


地質学的な意義

嵩山・和久羅山の山塊は、松江層からなる陸地の上に約600万年前に噴出した安山岩溶岩からできています。登山道に露出する安山岩の多くは赤褐色していますが、これは熱水変質を受けたためです。安山岩溶岩は最下部の一部に火砕岩を伴うだけで、それ以外には火砕岩類は知られていません。地点(3)(標高約100m)に松江層が存在することが道路工事のときに確認されております。

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