[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ加賀の桂島は風光明媚なリアス式海岸にあり、海水浴、磯釣り,磯遊びの名所です.この島の大半は約1500万年前に海底に噴出した溶岩から作られています。桂島に渡る橋の手前から,橋左側の島の崖をみると,巨大なタマネギのように緩やかに湾曲した縞模様がみえます(地点A,写真1).近づいて縞模様をみると,厚さ10cm程度の板状の部分と数cm〜10cm間隔で規則的な割れ目が入り,岩石が柱状に割れている部分(厚さ:数10cm〜1m)が重なりあって,縞模様をつくっています(写真2).両方の縞はともに黒色で,大変緻密な岩石(流紋岩)からできております.海底近くに上がってきたマグマの先端は,海水によって急速に冷やされ,固まります.固まった先端が内側を保護するため,内側のマグマはゆっくりと固まります.そのとき、マグマの体積が収縮するため,熱が放散する外側に向けて規則的な割れ目(柱状節理)が形成されます。さらに,次に上がってきたマグマは,先に冷えて固まった溶岩によって冷やされて同じように一組の縞模様を作ります.桂島ではマグマの上昇と冷却・固結が繰り返されて,溶岩のドーム状の塊がつくられています. 海水浴場付近から左手の山に登る遊歩道を行きますと西側の海食崖の上へ出ます.崖の下の岩棚にドーム構造の水平断面を見ることができます(写真3).ここでも、板状の部分と柱状節理の部分からなる数組の縞模様が見られます.縞模様は観察地点を取り囲む形で弧を描いて島側に傾いていて、ドームの形がよく理解できます.この他に、ドームを貫く岩脈,節理面の変化,割れ目にできたメノウなどがみられます. 海水浴場まで戻り,櫛(くし)島の大堤防のたもとの地点3まで行くと,同じような縞模様をもった岩石がありますが,来た方向に向かって岩石全体に細かな割れ目が沢山でき,そして角張った礫(角礫)の集まりに変わっているのがみられます.マグマが海底に噴出すると,数100℃の高温のマグマは海水によって急激に冷やされて,バラバラに割れて,角礫になったのです.また,島の北端付近では,溶岩が壊されてできた角礫中に,後から上がってきたマグマが貫入し冷やされてできた、菊の花の形をした放射状の割れ目(節理)をみることができます. アクセスJR松江駅よりバスで加賀別所・野波・沖泊方面行き、加賀港まで約50分 自家用車利用の場合、松江市内より県道松江・島根線経由約40分 4月1日〜10月31日の期間に加賀港から遊覧船に乗れば,加賀湾入口にある長いトンネル状の海食洞(加賀の潜戸(くけど))をくぐり抜けることができます. 関連する情報天然記念物などの指定情報大山隠岐国立公園 地質学的な意義マグマの種類によって,固まってできる岩石の性質は異なります.例えば,キラウエア火山のように玄武岩マグマは高温で,粘性が低く,流れやすい性質があります.しかし,雲仙火山のように流紋岩マグマは低温で,粘性が高く,流れにくいのです.そのため,流紋岩の溶岩は噴出しても横に広がらず、火口付近で冷えて固まって溶岩ドームをつくりやすいのです.なお,約1500万年前には桂島を含めた加賀湾東側には大きな海底火山があって,いろいろな種類の溶岩や火砕流が噴出していました.東海岸の下水浄化所の横(地点4)では玄武岩の枕状溶岩もみられます. |