[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ島根半島には新第三紀中新世に貫入したドレライト〜はんれい岩が分布します。それが火成活動に伴う熱水作用によって再結晶作用を受け、構成鉱物が粗粒となっている部分があります。ドレライトを構成する主な鉱物はかんらん石、輝石、斜長石ですが、はんれい岩の部分には熱水作用で生成した珍しい鉱物が生じています。その中でも特徴的な鉱物は鉄に富むパンペリー石、ぶどう石、バビントン石で、数cmの空隙に産出します。これらの鉱物を最も良く観察できる場所のひとつが松江市美保関町の古浦ヶ鼻です。 本地域のパンペリー石は、日本で最も鉄に富むことが特徴(Ca8(Mg、Fe2+、Fe3+)4(Al、Fe3+)8Si12O56-n(OH)n)で、そのために暗濃緑色をしています。通常個々の結晶を肉眼で見ることはできませんが、針状結晶が集まってカリフラワー状の集合体を形成しています。鉄に富むパンペリー石とともに、無色から淡緑色のぶどう石が産出します。この鉱物は、実際は板状の結晶ですが、細かい板状結晶が集合して粒状の集合体を形成します。ぶどう石(Ca2Al(Si3Al)O10(OH)2)は通常無色透明ですが、淡緑色をしているぶどう石は三価の鉄を含んでいます(Ca2(Al、Fe3+)(Si3Al)O10(OH)2)。バビントン石(Ca2(Fe3+、Mn)Fe3+Si5O14(OH))は黒色で、一辺が数mmの菱面体の結晶として産出します。非常に美しい結晶で、バビントン石としては日本の一、二を争う良い結晶といわれています。ぶどう石、灰(かい)鉄(てつ)輝石(きせき)、緑(りょく)簾(れん)石(せき)、石英、方解石などと共に産出します。
アクセス松江駅から自家用車で約45分。千酌湾の東側の磯つたいに15分ほど行くと古浦ヶ鼻に達します。満潮のときは腰近くまで海につかりますので、潮が引いていて、波が静かなときを選んで訪れる必要があります。 関連する情報松原 聰著 フィールド版鉱物図鑑 丸善株式会社 天然記念物などの指定情報大山隠岐国立公園(特別地域) 地質学的な意義日本で最も鉄に富むパンペリー石、純度の高いぶどう石結晶の集合体、良い結晶のバビントン石はいずれも世界的にも貴重な鉱物試料で、しかも、一ヶ所にこれらが集中しているところは他にありません。地質学的・鉱物学的に貴重な産地でこれまでに多くの研究がされています。 |