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小田海岸(おだかいがん)の貝化石

島根県出雲市多伎町小田

赤枠の範囲が見学場所です。

  1. 駐車場
  2. 出雲市役所多伎支所
  3. 道の駅(キララ多伎)

キーワード:布志名層 貝化石 礫 波打ち際 中新世


(執筆:新宮敦弘)

地図
国土地理院発行1:25000地形図「田儀」「神西湖」より

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みどころ

写真1

小田海岸に降り立つと、東方に稲佐海岸の白砂とクロマツのコントラストが遠く弧を描いているのがみられますが、すぐ西側は山が海岸まで迫り、荒々しい日本海の侵食作用により形成された海食崖が切りたち、その麓は礫からなる海岸となっています。この海岸は大小さまざまな丸く円磨された礫に埋め尽くされています。足元の礫は、波打ち際近くはやや小さな5cm位の礫が多く、波打ち際から数m離れたところには直径10〜20cmの礫が見渡す限り広がっています。 これらの礫は超円礫から円礫を主体していて、礫の種類は安山岩や流紋岩のような火山岩を主体とし、砂岩や礫岩、脈石英、チャートなどの礫が混じります。

小田海岸付近はシーサイド運動公園として整備されており、駐車場やスポーツのできる芝生、海岸へは階段式の護岸で楽に降りられるようになっています。でも、よくみると階段式護岸に設けられた手摺が半分礫に埋まってしまっています。このように海岸は波の作用で常に形を変えているのです。礫浜に座って耳をすませば、引き波とともに礫が転がり、ぶつかり合う音がウミネコの声とともに聞こえてきます。心の中まで、広々としてくるそんな海岸です。

この礫の中には、時々黄褐色から灰色の石に細い三日月型の白い模様の混ざったものがみられます(写真2の左側の礫)。よくみるとこの細い三日月型の模様は、礫に含まれている化石二枚貝の殻の断面です。礫を割ってみるとあまり風化していない立派な貝化石が現れます。この海岸では、シオバラザルガイ、ハタイカガミ、フジナウバトリガイ、ヨコヤマビノスガイ、フナクイムシなどの化石が産出することが報告されています。

写真2


アクセス

小田川河口付近に位置しJR小田駅より徒歩15分、国道9号を出雲市役所多伎支所より西へ200m程のところにシーサイド運動公園の看板があり、入ると十数台止められる駐車場が整備されている。


関連する情報

特になし


天然記念物などの指定情報

特になし


地質学的な意義

この海岸の礫は現世の堆積物で、海食崖および小田川によって供給された堆積物と考えられます。礫として多くみられる安山岩や流紋岩は、海岸から1kmほど離れた山地に分布しておりますので、小田川が運んできたものでしょう。化石を含む礫は礫全体からすればわずかなものですが、海食崖は化石を多く含む砂岩からなりますので、この崖も化石を含む礫の供給源と考えられます。なお、この海食崖の地層は大森層にされていますが、布志名層に対比するという意見もあります。

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