[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ地球は、その物性の相違を基に表層から6〜30kmの地殻、2,900kmまでのマントル、6,400kmまでの核と大きく3つにわけることができます。地殻は大陸を構成するものを大陸地殻、海洋を構成するものを海洋地殻とよび、大陸地殻の厚さは平均約30km程度、海洋地殻の厚さは6〜7kmであることが知られています。マントルは、上部660kmまでを上部マントルと呼びますが、これは主にかんらん岩でできています。玄武岩マグマは地下百数10km〜数10kmの上部マントルで発生し、かなりの早さで上昇してきますが、マグマが上昇する時に、周りの岩石を取り込んでくることがあり、取り込まれた岩石を捕獲岩(ノジュール)と言います。ちなみに、1974年に発表された東京工業大学の高橋栄一教授の論文では、大久での玄武岩の上昇スピードは毎秒10m(換算すると時速36km)とされています。大久から卯敷に至る海岸には玄武岩の中に、さまざまな捕獲岩が存在することで有名です(写真1)。この捕獲岩には、地殻下部の斑れい岩や変成岩のほか、マントル由来のかんらん岩が含まれています。かんらん岩は主に薄いオリーブグリーン色をしたかんらん石と深緑色をした輝石からできています。捕獲岩にはかんらん石と輝石の割合の異なった、さまざまなかんらん岩があります。これらは海岸斜面の崖や海岸の転石に含まれていることから、容易に観察することができますが(地点(1)、写真1)、国立公園内であるため採取するためには許可が必要です。海岸斜面の崖は、約350万年前(鮮新世後期)のマグマの通り道(火道)周辺の地層が浸食されたために、火道が塔状に露出した「岩頸」と呼ばれるものです(写真2)。岩頸は地点(1)のほかに黒島(地点(4)、写真3)にもみられますが、後者はチャーター船でしかアクセスすることができません。 アクセス自家用車あるいはレンタカーを利用する場合は、西郷港からを東回りに大久を通過し、久保(くぼ)路(ろ)トンネルを抜けて少し行くと、東西方向の谷と交差する所(3)で県道は大きく右に曲がります。そこからさらに登ると左側に待避所(2)があります。待避所の反対側のガードレールの切れ目から海岸へ抜ける小道を通って海岸に降り、海岸沿いに大久方向に約60m行くと地点(1)に到着します。 関連する情報隠岐の島町ホームページ: http://www.town.okinoshima.shimane.jp/ このサイトの近くに、山陰・島根ジオサイト地質百選「浄土ヶ浦と崎山岬」があります。 天然記念物などの指定情報大山隠岐国立公園 地質学的な意義上部マントルの主な構成鉱物は かんらん石と斜方輝石および単斜輝石ですが、地下70kmよりも浅いところでは、これにスピネルと呼ばれる鉱物が、地下70kmより深いところではマグネシウム(Mg)に富んだざくろ石(ガーネット)が含まれます。大久ではスピネルを伴ったかんらん岩が発見されているため、地下70kmよりも浅いところからもたらされたものと考えられます。大久の玄武岩中の捕獲岩は、地下深部からの手紙と言えるでしょう。 |