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三瓶山の溶岩ドームとカルデラ

大田市・飯石郡飯南町

三瓶山は山陰を代表する活火山のひとつです。



キーワード:三瓶火山 溶岩ドーム カルデラ 活火山 飯南町


(執筆:中村唯史)

地図
国土地理院発行1:25000地形図「三瓶山西部」「三瓶山東部」より

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みどころ

写真1

島根県のほぼ中央にそびえ、石見と出雲の国境にあたる三瓶山。広い草原と人の手がほとんど加わっていない自然林があり、多様な動植物を育みます。また、出雲国風土記が伝える国引き神話の舞台でもあり、島根を代表する名峰と言えます。

三瓶山は、主峰の男三瓶(1126m)をはじめ、子三瓶(961m)、女三瓶(957m)、孫三瓶(903m)などの峰からなります。これらの峰は火山活動によって形成されたもので、デイサイト溶岩からなる溶岩ドーム群です。デイサイト溶岩は粘性が高いために火口から噴出してもあまり流れず、溶岩ドームを形成します。溶岩の噴出と崩壊を繰り返しながらドームは成長し、こんもりとした釣り鐘型のの山体を形成するのです。

三瓶火山の活動は約10万年前に始まり、少なくとも7回の活動期があったと考えられています。約10万年前、約7万年前、約4万年前の活動期には、多量の軽石をともなう噴火によりカルデラが形成されました。カルデラは直径約5kmで、現山体はその内部の中央火口丘群に相当します。

約1.6万年前の活動では軽石噴火とともに溶岩ドームが形成され、南側の日影山(697m)がこれにあたります。日影山は現山体で最古の峰です。その他の峰は1万年前以降の活動で形成されました。男三瓶などの峰の成因は、それぞれが別個の火口から噴出した溶岩からなる溶岩ドーム群とみられますが、大きな溶岩ドームが爆発的な噴火によって壊れた残存部とする見解もあります。また、女三瓶の西にある太平山は火砕物に覆われたなだらかな形状で、溶岩が露出していないことから、火山砕屑丘とみられます。

溶岩ドーム群は輪状に配列しており、その内側には室ノ内と呼ばれる凹地があります。ここは溶岩ドーム群が形成された後に爆発的な噴火を起こした火口と考えられていて、底部には二酸化炭素の弱い噴気がみられます。

写真2,3


アクセス

JR大田市駅から車で30分。
松江自動車道三刀屋木次ICから車で60分。
中国道三好ICから車で90分。


関連する情報

島根県立三瓶自然館:http://nature-sanbe.jp/


天然記念物などの指定情報

大山隠岐国立公園三瓶山地区


地質学的な意義

三瓶火山は、中国地方の山陰側を通る火山フロントに並ぶ火山のひとつ。約10万年前に活動を開始し、少なくとも7回の活動期があったことが知られている。過去1万年間にも3回の活動を行っており、活火山に指定されている。

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