[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ山王寺地区の地すべり(写真1)は,昭和33年に地すべり等防止法が施行されると,島根県では最初の地すべり防止区域に指定された,県内でも規模の大きい地すべり地の1つです。 山王寺の地すべりブロックは,地形図からもわかるように,周辺の等高線に比べて等高線の間隔が開いた独特の地すべり地形を示しています。これまでの間に少しずつ地すべりが発生し,周囲の斜面から崩落した土砂(崩土)が下方へ移動してきたと考えられています。 地すべり地は緩傾斜面になっています。この緩傾斜面は崩土によって構成されていますが、崩土は新第三系中新統の久利層とよばれる泥岩(写真2)の上に重なっています。 この泥岩の存在がこうした大きな地すべり地を形成する原因となったと考えられています。さらにこの泥岩が地すべりを起こしやすい原因としては,泥岩の層理面が斜面方向に傾斜していること(流れ盤構造),地下水の作用によりさらに弱くなりやすいこと,などもあげられます。 ところで,長年の地すべりによりできた緩斜面は水田として利用され,緩斜面に沿って棚のようになっているので“棚田”と呼ばれています(写真3)。ここの棚田は平成11年に農林水産省の「日本の棚田百選」に選ばれました。耕作地を維持管理し良質な米を生産し,水源涵養の機能も果たし,また,農村風景として周囲の景観に溶け込んでいます。 自然現象である地すべりと人間生活がうまく共生している例ではないでしょうか。 アクセス自家用車利用では,松江市街から主要地方道松江木次線を須佐神社で左折,一般県道海潮宍道線を「棚田展望台」標識案内で約30分 関連する情報島根の棚田 http://www.pref.shimane.lg.jp/industry/norin/seibi/tanada/ 地すべり対策 http://www.jisuberi-kyokai.or.jp/toha/gaiyou.html#1 天然記念物などの指定情報日本の棚田百選 地質学的な意義本地域の地質は,流紋岩質溶結凝灰岩を主とするいわゆる白亜紀火山岩類,黒雲母花崗岩を基盤岩とし,これを不整合の関係で広く新第三系が覆っています。 新第三系は中新統の波多層を最下部層とし,これを不整合に川合層の砂岩,礫岩が覆い,さらにこれを整合的に久利層の泥岩,流紋岩質凝灰岩が被覆します。これらは不整合に大森層の安山岩,礫岩によって覆われます。 地すべり母岩の泥岩は,モンモリロナイト,イライトとの混合層鉱物を主とするものです。 |