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八重滝

雲南市掛合町入間

  1. 流紋岩溶岩
  2. 流紋岩溶岩
  3. ポットホール
  4. ここより八汐滝までは流紋岩質凝灰岩が分布する

キーワード:8つの滝 民谷川 八神火山岩類 日本の滝百選 竜頭八重滝県立公園


(執筆:山内靖喜)

地図
国土地理院発行1:25000地形図「出雲吉田」より

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みどころ

写真1

雲南市には竜頭(りゅうず)ケ滝、雲(くも)見(み)の滝、矢入り大滝など有名な滝がありますが、八重滝が最も水量が多いので見応えがある滝でしょう。1990年には龍頭が滝とともに日本の滝百選に選ばれている名瀑です。八重滝という名前の滝はありません。約2kmの間に大小8つの滝があるので、その区間を八重滝とよんでいるのです。8つの滝は下流より、猿飛(さるとび)滝、滝(たき)尻(じり)滝、紅葉(もみじ)滝、河鹿(かじか)滝、姥(うば)滝、姫(ひめ)滝、八(や)塩(しお)滝、八(や)汐(しお)滝とよばれていますが、八塩滝と八汐滝は一番奥にある落差40mほどの二段の滝で、上を八汐滝、下を八塩滝とよびます。また、猿飛滝は駐車場より下流にあります。

この内で見応えのあるのは、滝尻滝、八汐滝、八塩滝でしょう。残りの5つは落差数m以下の滝で、川底の一部だけに段差ができているものもあります。でも、そのような滝の下流では流れに渦ができやすいため、川底の岩盤に直径数10cm〜数mの丸い窪みがつくられています。これは水の渦によって川底の砂利や玉石が回転して岩盤を削ってつくった穴で、ポットホール(甌(おう)穴(けつ))といいます。地点(3)では直径4mのポットホールがあります。

写真2

広い駐車場と遊歩道もきちんと整備されていて、子供連れでも比較的無理なく歩けるコースです。ここは島根県の自然観察モデルコースに指定されています。下記のホームページにアクセスしますと、地形と地質及び植物の案内がみれます。また、島根県環境生活部自然環境課に頼めばこのコースのガイドブックを分けてもらえます。


アクセス

国道54号、掛合市街地南約5kmに「八重滝」の標識のある道に入って、約1km行くと駐車場があります。


関連する情報

島根県環境生活部自然環境課自然観察モデルコース:http://www.pref.shimane.lg.jp/environment/nature/shizen/shimane/sizennkansatu/yae/yae-chikei.html

雲南市ホームページ:http://www.city.unnan.shimane.jp/www/contents/1098172123213/


天然記念物などの指定情報

竜頭八重滝県立公園


地質学的な意義

ここから西の波多川にかけての掛合町南西部では、前期中新世(約2000万年前頃)に大地が大きく割れて落ち込んで盆地ができました。この盆地(掛合陥没体)の内外で火山が活動を始めて、溶岩や火砕流を大量に噴出して、盆地を埋め立てました。地点(1)や(2)の流紋岩溶岩は陥没盆地を埋め立てた火山岩の一部です。滝尻滝は陥没を起こした断層に沿って貫入してきた安山岩からできています。紅葉滝から八塩滝までに分布する流紋岩質凝灰岩(八神火山岩類)は陥没盆地の基盤の一部です。

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