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外部アドバイザーによる意見のまとめ 自己評価委員会 (2006/12/16)


平成18年12月6日(水)に外部アドバイザー会議を実施しました.外部アドバイザーの皆様から,会議中および会議後に提出いただいた意見を自己評価委員会で取りまとめましたので,ここに報告します.

(1)学科の理念・目的

これまでの学科の理念・目的については,おおむね評価されている.学科創設10年を経過したことをふまえ,地球環境と人類社会の未来,資源エネルギー問題,これらに関連して日本社会と国際社会の展望を見据えて学科の理念・目的の再構築を行うべきとの指摘がある.また,当学科が基礎的分野の教育研究の継承と発展に貢献できる組織であることを強調すべきとの提言もあった.これらの外部アドバイザーの貴重な意見・提言をも参考にして,学科の理念・目的を見直しをも含めた将来構想の策定が必要である.

(2)学科の運営(教育研究組織の充実度と機能性等)

教育組織に関しては,環境地質分野(土壌,河川,海洋,大気等の汚染,環境工学等)の教員の配置の提言もあった.海洋・大気汚染ということになると地質学をベースとした地球環境学という,学科創設時の基本理念・目標からの大幅な変更を行うことになり,慎重な検討が必要である.学科運営の機能性については,学科内外の委員会組織の整備や効率的運営,事務処理の実務軽減(アルバイトの導入等)の必要性が強調された.教員の本来業務である教育・研究により力を注げるよう,指摘のあった事項の検討は急務である.

(3)入試方針・方法と就職状況・就職支援等

「入試方針・方法」

学科の目的・内容の記述はかなり改善されたが、入試方針・カリキュラム等のPRが十分ではない。特にホームページでは学科の独自性のPRが必要である。AOは有効な試みであり方法は良く検討されていて地質に興味を持つ優秀な学生の入学の期待が高いが、PRについてはさらに努力が必要である。学校説明会・オープンキャンパス等は一定の効果があり、継続と充実が望まれる。目的の明確な学生の入学が多くない現状では、地質オタク的学生にも魅力がある。学会等と連携や地元の優秀な学生に着目するなど、「攻め」の体制を作ることで志願者増加をはかっていくべきである。

「就職状況・就職支援等」

就職委員をもうけて対応している体制は評価できる。しかし、産学の連携をもっと強くする必要がある。公務員・建設土木関係への就職はますます厳しくなるので、あらゆる産業分野に適応できる知識・技術を見につけさせ、それを企業へアピールしていく必要があり、ベンチャ-企業等への対応も必要である。現状は地球科学的観点から環境問題に取り組む人材が不足しており、その分野に進出するチャンスはある。一方で、学生自身の就職への熱意を高める工夫も必要であり、それにはインターンシップを多く経験させることも必要である。学生が自分で就職先を探す体制もつくる必要がある。同窓会や学会就職支援キャンペーンの活用も望まれる。

(4)教育内容および方法

JABEEとの関連で教育内容は非常に充実しており、基礎的な地球科学が習得できるカリキュラムとシラバスになっている。1年次から専門授業を取り入れていることも評価でき、基礎科目・フィールドを重視していることも当を得ている。研究成果や教員の実体験などを反映させた内容が加わるとさらに良い。 知識と創造性を身に付けるために、野外実習を重視する伝統は守ってほしい。また、室内作業も加えた内容を特徴として維持することが重要である。 知識の詰め込みよりも、自立して思考・行動ができ応用力を伴う基礎デザイン力を身に付ける力が求められている。今後は、シラバスの内容が実際にどの程度実践されているか検証することが重要である。さらには、各授業の目的・内容・習得技術等の相互の繋がりを明確にし、科学技術の総合化を目指した教育を望みたい。

(5)教育の成果と検証の方法

「工学系の知識をも身につけた理系」とのイメージは非常に良い.JABEEに対応したことによって,学習教育目標とその達成度評価は大変良くまとめられており,ある程度の成果が得られている.今後は,10年程度のスパンでの検証(卒業生との連続的追跡や卒業生による教育評価等)が必要と考えられる. 一方で,シラバスによって内容があらかじめ固定されているため,詰め込み式の講義になっている観も認められる.したがって,FD活動へ積極的に参加し,教育技術を身につけることも重要である.

(6)学生支援(履修指導・相談助言体制・学習施設設備・学習環境等)

学生支援は経済的支援と精神的支援の両方が大切である.経済的な支援の方法としては,企業との連携し奨学寄付金の支援を受けることが考えられる.一方で,精神的な支援の方法としては,担任制度には限界が認められ,3,4回生等に補助的な役割を持たせる等の方法も考えられる. いずれにしても,支援体制に対する学生アンケートの連続的な結果を集積することによって,問題点が明確になるものと考えられる.また,インターンシップ制度の積極的な活用は,就職対策としても有効と考えられる.

(7)研究水準と成果

上記のように,研究水準に関しては高い評価が多かった.今後,工学分野や新しい分野の研究成果も期待されている.しかしながら,これらの成果をこれまで積極的に公開してこなかったので,今後は学科の研究報告,学科のホームページなどを利用し,年あるいは年度ごとに学術論文,国際会議発表,取得特許,外部資金の獲得等に関する情報をまとめ,公開する必要がある.このような外部へ向けた研究成果の公開により,産官との共同研究の拡大を図っていくことが望ましいと考えられる.

(8)社会・国際貢献

国際貢献については,留学生特別コースやテキサスプロジェクトなどの実績で高い評価を受けた。今後もこのレベルを下げることなく,さらに向上させることが必要であろう。

社会貢献については評価が低い。外部からみると,何をやっているのかがわからないようである。「学内からの情報発信」(酒井),「地域に対する啓蒙」(小豆沢)などが足りないとの指摘がされ,工学系にくらべて「理学系の人は敷居が高い」(小豆沢)という発言もあった。また,「学生が就職に対して熱心ではない」(小豆沢)ことも,地元企業から見て学科が疎遠な印象を与える一因となっているようだ。

同窓会の活性化は,学会レベルでの活用(米国の例など)も含めて期待されている。卒業生のボランティアにまかせたままでは難しく,対外的な窓口として学科が位置づける必要があるかもしれない。

民間との交流は,学科の方が待っていたのでは誰も来てくれないであろう。退官した山内先生のように,地元企業の人たちと個人的な交流があってこそ,学科の敷居が低くなるのではないか。

people 外部アドバイザー
木村 学
鈴木 茂之
酒井 禮男
小豆澤 薫
永島 晴夫
三谷 貴司
藤井 三千勇
東京大学 教授
岡山大学大学院自然科学研究科 助教授
(財)しまね産業振興財団 顧問
(株)共立エンジニヤ 常務取締役
島根県産業技術センター 技術部長
島根県立大社高等学校 教諭
(株)藤井基礎設計事務所 代表取締役

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