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赤名湿原(あかなしつげん)

島根県飯石郡飯南町赤来町下赤名

  1. 駐車場
  2. 国道54号線中城子交差点
  3. 県道166号線案内表示
  4. 県道166号線案内表示
  5. 大きな案内板
  6. 小さな案内板

キーワード:低層湿原 黒ボク土 希少生物 重要湿地500選 赤名花崗閃緑岩

(執筆:新宮敦弘)

地図
国土地理院発行1:25000地形図「野萱」より

[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義]


みどころ

写真1, 図1

赤名湿原は花崗閃緑岩地盤の豊かな湧水がつくり出した湿地で、湿原の表面まで冠水しているいわゆる低層湿原です。湿地の地盤は三瓶山(さんべさん)起源の黒ボク土と植物遺骸よりなり、湿地特有の動植物が観察できる貴重な自然エリアとして島根県自然環境保全地域「赤名湿地野生動植物保護地区」に指定されています。

赤名湿原は、湿原の奥側の長尾池とそれに至る湿原よりなり(図1)、湿原には木製の通路が整備され、湿原の中を散策することができます。また、各要所に案内看板が整備されており、とても観察しやすくなっています。

また、湿原植生 としてハンノキ林や草本層はカサスゲが優占し、多くの湿地性植物を伴うこと、 ネクイハムシの生息地であることから日本の重要湿地500選にも選定されています。

本保護地区で指定されている動植物はコムラサキ・ミツガシワ・トキソウ など植物21種とハッチョウトンボをはじめとする動物3種です。

写真2

写真3-6


アクセス

松江駅より国道54号を広島方向へ約2時間半。国道54号線中城子交差点(地図の2)を右折して 県道166号線 に向かい、案内表示に従い県道166号線 を左折(3)する。案内表示に従い町道に右折((4)または(5))する。


関連する情報

動植物は季節により観察出来ないものがあります。飯南町ホームページで詳しく解説されておりますので、動植物を観察される場合にはあらかじめ確認してください。

島根県自然環境課のホームページ:http://www.pref.shimane.lg.jp/environment/nature/shizen/shimane/shizenkankyohozentiiki/akanasitti.html

島根県飯南町公式ホームページ:http://www.iinan.jp/

日本の重要湿地500選 302赤名湿原:http://www.sizenken.biodic.go.jp/wetland/302/302.html


天然記念物などの指定情報

日本の重要湿地500選に選定

島根県自然環境保全地域特別地区および普通地区(昭和52年11月1日)


地質学的な意義

この地域一帯は白亜紀末から前期古第三紀に形成された赤名花崗閃緑岩が広く分布し、所々で古第三紀の花崗岩がこれを貫いています。赤名湿原周辺に基盤の露頭は少なく、入り口駐車場ののり面に風化花崗閃緑岩が、赤名湿地奥の林道沿いに花崗岩の露頭がみられる程度です。

島根県自然環境課によれば、この地域は海抜450-500メートルの小起伏山地であります。その谷部は3万年以前の三瓶火山の火山噴出物に覆われており、帯水層を形成しています。花崗閃緑岩よりも風化しにくい花崗岩は高まりとして残り、一種の堤防となって地下水を胚胎させ、谷部の豊富な湧水となっています。寒冷な気候下で溜まったミズゴケなどの植物遺骸が重なり現在の湿地ができたと考えられています。

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