[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ写真1:町道から赤壁を望む(写真提供:知夫村) 知夫里島は、島前諸島の中で最も南に位置する島で、約14km2の面積のほとんどが放牧場として利用されています。知夫里島の西海岸には約1kmにわたって赤、黄、茶色などの鮮やかな崖の色を示す高さ50m-200mの断崖があり、赤壁として知られています(写真1、地形図の(1))。知夫里島を構成する岩石は、約630-530万年前に活動したアルカリ成分を多く含む火山岩類です。この時代の島前では西ノ島の焼火山を中央火口丘とするカルデラ火山が形成されており、知夫里島は外輪山の一部でした。島の西部にはアカハゲ山(標高325m)とよばれるなだらかな丘陵地があり、頂上の展望台(2)から、カルデラ火山の様子が一望でき(写真2)、また快晴の日には島根半島や鳥取県の大山が眺望できます。 写真2:アカハゲ山から島前カルデラを望む (写真提供:知夫村) アクセス自家用車あるいはタクシーを利用する場合は、来居港から郡・仁夫を経由して(1)まで約30分、(2)までさらに15分。来居港から古海を経由して(2)まで約30分、(1)までさらに15分。 関連する情報千葉とき子・金子信行・鹿野和彦(2000),浦郷地域の地質(5万分の1地質図幅「浦郷」).地質調査所 知夫村役場 : http://www.chibu.jp/ 天然記念物などの指定情報大山隠岐国立公園特別保護区。1935,国指定、名勝および天然記念物 地質学的な意義外輪山を構成する岩石は、アルカリ成分を多く含んだ塩基性〜やや塩基性の火山岩である粗面玄武岩〜玄武岩質粗面安山岩の溶岩と火砕岩です。赤壁は、高温で粘性のやや低い多孔質岩片が火口から放出され、それらが堆積して軽度に溶結して生じた火砕岩(アグルチネート)や、もう少し火山灰を多く含む集塊岩(アグロメレート)からなる火砕丘でできています。この火砕丘は底の直径が数100m、比高数10mの規模で、同じ岩質の溶岩に覆われています。また、この火砕丘には粗面玄武岩〜玄武岩質粗面安山岩の岩脈が観入しています。これは、噴火の際のマグマの通り道(火道)であったと考えられています。またこれとは別に、アルカリ成分を多く含む中性の火山岩である粗面岩の岩脈も認められます。火砕丘をつくる岩石は、噴火後まだ高温のときに酸化を受けて赤色化しています。このようにしてできた赤壁は、写真3のように夕日を浴びると特に赤く輝くことで知られています。赤壁の下の海岸には、波食棚(3)が連続して見られますが、これは今から数千年前の温暖期で、海面が高かったときに形成された浸食地形です。 写真3:海上から赤壁を望む |