[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ乳房杉の風穴は隠岐島後最高峰の大満寺山(標高608m)北側の林道南谷線沿いに位置しています。近くに樹齢約800年と言われる乳房杉があることから、このように呼ばれていますが、「岩倉風穴」とも呼ばれています。 風穴とは、一般的には山腹に開いている深くて長い、火山の溶岩トンネルを指します。風穴内の空気は、夏でも外気に比べて気温が低いため、冷たい空気が吹き出します。 乳房杉の風穴は溶岩トンネルではなく、無数の転石が積み重なってできたものです。無数の転石は玄武岩溶岩であり、大満寺山から崩れ落ちたものです。転石は不規則に積み重なっているため、内部は隙間だらけの状態です。この隙間が空洞の役目をして空気の流れみちとなっています。このため、転石の隙間から冷たい風が吹き出しており、夏には心地よい涼みの場となっています。 アクセス西郷港(フェリー岸壁)から車で国道485号と中村津戸港線で中村方面へ向かい、銚子ダムから林道南谷線を布施方面に向かいます。所要時間は約40分です。 駐車場(林道の待避スペース)、トイレ無し、展望台無し、自然観察路無し。 関連する情報隠岐の島町: http://www.town.okinoshima.shimane.jp/ 風待ちスタジオ: http://kazematikaidou.gozaru.jp/ 隠岐観光協会: http://www.e-oki.net/ 参考文献:風待ち海道倶楽部(2007)隠岐島エコツーリズム OKIまるごとミュージアム(この本に関する問い合わせ先は隠岐の島町役場教育委員会生涯学習課 野辺一寛) 天然記念物などの指定情報大山隠岐国立公園特別地域 地質学的な意義無数の玄武岩転石は、今から約450万年前(前期鮮新世)に噴出した玄武岩溶岩起源のものです。転石の多くは六角柱状です。これは玄武岩溶岩が冷えて固まるときに形成されたものであり、柱状節理といいます。つまり大満寺山を形成する玄武岩は柱状節理が発達していたために地下水が浸透しやすく崩れやすい状態であったと考えられます。さらに玄武岩の下位には、向ヶ丘層と呼ばれる海成堆積層が分布しています。このように節理が発達する火山岩が上位に分布する構造を「キャップロック構造」と言います。下位の向ヶ丘層はキャップロック(玄武岩)から供給される地下水で崩壊・地すべりを繰り返したため、玄武岩はオーバーハング地形を形成し、節理に沿ったトップリング(横転)崩壊によって転石群が形成されたと考えられます。 |