[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ石見(いわみ)銀山の銀鉱床は、島根県の中央部にあたる大田(おおだ)市の南西部に位置し、仙ノ山(せんのやま)を中心とする東西約2km、南北約1kmの範囲に分布しています。ここには、これまで約600カ所以上の銀の採掘跡(間歩)が確認されています。これらの間歩のうち、現在大久保間歩(写真1)と龍源寺間歩(写真2)が一般公開されています(大久保間歩の見学には事前予約が必要です)。 石見銀山の発見は、歴史上、1309年に周防(すおう)国の大内氏が最初といわれていますが、1526年に神屋寿禎(かみや・じゅてい)による銀山開発が始まり、1533年に“灰吹き法”が伝わり、急速に開発が進められました。最大の銀の産出がみられたのは江戸時代初期で、この頃徳川家に納められた運上銀は、年間13.5 t、年間の総生産量は、67.5tに達したと推定されています。その後、産銀量は減少し、江戸時代後半には年間数100 kgにすぎなくなったとされています。1872年には、浜田地震の被害により、多くの坑道が使用できなくなり、銀山の経営が困難になりました。 そしてその後、銅鉱山として再開発されたものの、1923年には休山してしまいました。 さらにその後、何度か再開発をめざし、1943年には事業化もされましたが、水害等により閉山し,今日に至っています。 石見銀山一帯の地域には、第四紀更新世(200万年〜70万年前)に活動した火山群(大江高山火山群)が分布しています(図1)。この火山群は、安山岩〜デイサイト質の溶岩・火砕岩からなる溶岩円頂丘群で、急峻な山腹斜面と比較的平坦な山頂部を特徴としています。 これらの火山体の下には、新第三紀鮮新世末から第四紀更新世に堆積した海成〜陸成堆積物からなる都野津層が分布し、さらにその下には、新第三紀中新世の火山岩と火砕岩類、堆積岩類が分布しています。 アクセスJR大田市駅よりバスで約20分、代官所前下車すぐに石見銀山資料館。 自家用車の場合は、県道仁摩瑞穂線(大田市大森町地内)から石見銀山公園駐車場または世界遺産センター駐車場へ5分。 龍源寺間歩・・・・石見銀山公園駐車場から徒歩約30分 大久保間歩・・・・世界遺産センターからシャトルバス20分、徒歩15分。または、市道原田線駐車場から徒歩15分 関連する情報石見銀山資料館 http://fish.miracle.ne.jp/silver/ 石見銀山世界遺産センター http://www.iwamigin.jp/ohda/minasdeplata/ginzan/center/index.html 島根県世界遺産登録推進室 http://www.pref.shimane.lg.jp/sekaiisan/ 文献:赤坂・牧・鳥越 (2007) 島根大学地球資源環境学研究報告特別号、1-7. 天然記念物などの指定情報
平成19年7月3日 ユネスコ世界文化遺産. 地質学的な意義石見銀山は、大江高山火山群の火山活動を引き起こしたマグマから発生した熱水によって約100万年前にできた鉱床です。石見銀山の銀鉱床は、鉱脈鉱床である永久鉱床と鉱染鉱床である福石鉱床からなります。銀を多産したのは、福石鉱床です。 福石鉱床の主な銀鉱物は、輝銀鉱、自然銀などの比較的単純な銀化合物ですが、永久鉱床の銀鉱物は、輝銀鉱、自然銀の他に、銅やビスマスなどの元素との複雑な化合物として産出します(赤坂ほか, 2007)。 |