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金城町の巨晶花崗岩

浜田市金城町波佐若生

金城町の巨晶花崗岩(ペグマタイト)は、この匹見層群に約8000万年前に貫入した花崗岩中に脈状に分布しています。

:露頭位置


キーワード:ペグマタイト 石英閃緑岩 周布川 石英 白亜紀


(執筆:桑田龍三、加藤芳郎)


国土地理院発行1:25000地形図「臥龍山」より

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みどころ

写真1:周布川の露頭の全景

周布川の最上流部は、標高800m〜900mで小起伏をなす脊梁低位面(八幡高原面)を峡谷状に浸食して、北東方向にほぼ直線的な谷筋で流れ下っています。南側の流域界は広島県との県境となります。この一帯には、今から約9000万年前の中生代白亜紀の大規模な火山活動で噴出した凝灰岩や溶結凝灰岩が分布しています。これらの岩石は匹見層群と呼ばれ、県西部の吉賀町から県中央の美郷町にかけて広く分布しています。
金城町の巨晶花崗岩(ペグマタイト)は、この匹見層群に約8000万年前に貫入した花崗岩中に脈状に分布しています。花崗岩をつくったマグマが徐々に固まるときに、最後に残った成分がゆっくり冷えたために結晶が大きく成長しました。この川べりの露頭(岩石が露出しているところ:写真1)では、直径30cm〜90cmの六角形をした石英の大きな結晶がたくさん見られます(写真2)。



写真2:六角形をなす巨大な石英結晶

アクセス方法のところで示した車を止めるところから道路沿いに100mほど下ると、道路脇斜面に穴が空いています(写真3)。これはガラス原料として石英を採掘した跡といわれ、地元の人によって、1955年(昭和30年)前後に3年間ほど掘られたことがあるそうです。

写真3:石英を採掘した跡

アクセス

●浜田市金城町波佐若生
→国道186号の金城町波佐から県道波佐芸北線に入り、周布川に沿って6.5kmほど遡ります。位置図に示したカーブのところが広くなっていて、駐車できます。道路の川側に3本の杉の大木があります。その下流側から川に降り、対岸に渡って20mほど上流に遡ると目指す露頭に到着です。

関連する情報

なし


天然記念物などの指定情報

なし


地質学的な意義

石英(quartz、クォーツ)は二酸化珪素(SiO2)が結晶してできた鉱物で、硬度 7、比重2.65、六方晶系、無色透明または白色でガラス光沢、貝殻状の割れ口という性質をもちます。石英は花崗岩などの優白質の岩石に普通に含まれる最も身近な鉱物の一つです。先端がとがった六角柱状の結晶を水晶といいます。花崗岩中の石英は一般に数mm〜10数mm程度の大きさで、粒状の結晶で産出します。ところが、巨晶花崗岩ともいわれるペグマタイトでは、1mを超えるような巨大なサイズの結晶となることがあります。
石英はガラスや窯業原料、工業原料として利用されます。また、六角柱状で透明度の高いきれいな結晶をした水晶や、黒や紫色などに色づいた水晶は、装飾品や宝石として好まれています。

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