[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ写真1 来待石採石場跡(「来待ストーン」敷地内) 来待石は、松江市玉湯町から同宍道町にかけて東西約10km、幅1〜2kmの地域で採石される石材で、安山岩質な砕屑物を主体とする塊状砂岩です。地質学的には新生代新第三紀中期中新世の大森層に属します。古くは古墳時代から石材として利用されたといわれています。江戸時代には松江藩の松平直政公がお止め石として藩外への流出を禁止し、松江藩の特産品としてから「出雲石灯篭」のブランドができたといわれています。
来待石は、石質が軟らかく、切り出しや加工がしやすいのが特徴です。また、風化が速いため、切り出した直後は灰色がかった色調であったものが、短い期間で、黄褐色の古めいた風情ある外観になっていきます。苔も付きやすく、日本庭園をつくるのになくてはならない素材のひとつといえます。
松江市玉湯町から同宍道町にかけて、ちょうど山陰自動車道沿いの市道に入ってみると山腹のいたるところに写真のような直壁が現われます。これはかつて石材を切り出した採石場の跡です。一見すると均質な、中〜粗粒の砂岩ですが、じっくり観察すると、構成粒子の粒度の違いなどが見えてきます。 また、この砂岩からはまれに化石もみつかります。今まででもっとも貴重な化石は恐らくパレオパラドキシアの化石でしょう。これは、中期中新世の頃に水辺に棲息したカバやサイのような生き物と考えられています。パレオパラドキシアとは近縁のデスモスチルスという生物の化石も少し後の時代の布志名層からみつかっています。このほか、大森層からはイタヤガイの仲間の化石や、サメの歯の化石などもみつかっています。 写真2 来待石の石灯籠 アクセス交通はJR山陰本線来待駅、来待大森温泉や玉造温泉、来待ストーンなどがある。 関連する情報
天然記念物などの指定情報昭和51年 「出雲石灯ろう」は 通産大臣より「伝統的工芸品」として指定される 地質学的な意義1400万年前の中期中新世に形成された砂岩で、大森層に属します。かつては布志名層の下部と考えられていたこともありますが、ここでは「新版島根県地質図」に従います。大森層の模式地は来待大森辺りです。この砂岩を構成する安山岩類も同じく大森層のものと考えられています。 |