[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ仁摩町馬路の琴ヶ浜海岸は、歩くとキュッキュッと琴の音のように鳴り、また美しい微小な貝を含んだ「鳴り砂」の浜として知られています。最近では、このキュッキュッという音の他、拳で砂の表面をたたくと「ドーン、ドーン」と太鼓の音のように聞こえる場所もあることがわかってきました。 写真1:空中写真による琴ヶ浜海岸(シルバーランド振興財団提供) アクセスJR山陰線 馬路駅下車 徒歩3分 自家用車の場合は、仁摩サンドミュージアム方面より国道9号線を南方へ約2km、駐車場右折(案内板あり)。浜近くに駐車場あり。 関連する情報仁摩サンドミュージアム:http://www.sandmuseum.jp/ 文献 1:(財)シルバーランド振興事業団(2001) 琴ヶ浜海岸環境整備事業の施工に伴う海岸環境の事業効果調査報告書 文献 2:鳴り砂往来 志波靖麿(2005) 鳴り砂の不思議現象。粉体と工業、37巻5号。 天然記念物などの指定情報「日本の渚・百選」選出 1996年 「日本の音風景・百選」選出 1996年 地質学的な意義仁摩サンドミュージアムを見学すれば鳴り砂の特徴として下記のことがよくわかります。 (1) 音発生のメカニズム砂が鳴る原理は、砂粒子間に発生するステイック・スリップ(固着すべり)という現象によるものと考えられています。もし、砂の表面が、物理的、化学的に汚染されてしまうと、摩擦係数が急激に低下しその現象が生じなくなるとされています。 (2) 鳴る砂と普通の砂鳴る砂と鳴らない砂の表面は、写真1と写真2ののような違いがあります。普通の砂の表面は、微粒子(粘土)が付着していて凹凸があることがわかります。一方鳴り砂の表面は、研磨され非常になめらかで粘土などの不純物の付着がありません。 また、砂の音波形を比較すると図1-1、図1-2のように鳴り砂は規則正しい波形を示しますが、普通の砂は不規則で、音の発生も雑音的です(文献1)。 (3)琴ヶ浜の砂は、どこからきたのか?琴ヶ浜には小さな2本の川(新川(しんかわ)、塩郷(しおごう)川(がわ))が背後の山地から注ぎ込み、東側の脊梁部を越えると天(あま)河(ご)内川(うちかわ)が潮(うしお)川(がわ)に合流して、仁摩湾に注ぎ込んでいます。また琴ヶ浜海岸は、半円形を呈していて、沿岸流が流入しやすい状況にあります。近年、研究が進み砂の「粒度分布、粒子写真、及び化学組成」などの比較により、天河内山頂(第四紀完新世の風成砂層が分布)や天河内川、及びその土手から採取した砂が琴ヶ浜海岸の砂によく似ていることがわかってきました(文献1、文献2)。 このような結果から、琴ヶ浜の砂は、周辺の丘陵地や山地に起源を求められる可能性があることがわかってきました。琴ヶ浜を散策するのも健康的で良いと思いますが、周辺の丘陵地に出かけることも新しい発見があってよいのではないでしょうか。 . |