[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ岩塊が積み重なった石ごうろ(桑田龍三氏提供) 大麻山(標高599m)の南側と西側の標高300〜500mの山腹に、直径1〜7mもある岩塊が何百個、何千個と密集し累々と重なり合っている場所が、大小6箇所あります。地元ではこのような場所のことを石がごろごろしているから「ごうろ(郷路)」と呼んでいますが、専門的には「岩塊流」といいます。最大規模の石ごうろ(曽根石郷路)は南側山腹の谷間にあり、幅23m×長さ130mの帯状に分布しています。ここの岩塊はすべて石英閃緑岩という岩石です。しかし、石英閃緑岩はこの谷の両側には分布しないで山頂付近に分布していますので、岩塊はそこから崩落してきたのでしょう。
山頂付近に分布する石英閃緑岩には、方状の割れ目(節理)が沢山できています。この割れ目に入った空気や地下水の作用などによって、岩石は割れ目から内部に向かって少しずつ風化し砂や粘土に変わっていきますが、中心部には堅い部分がまだ残っています。未風化の岩塊を含む砂や粘土からなる土砂は地震や大雨のときに崩れ、谷間に集まりました。その後、砂や粘土は水によって流れ去り、岩塊だけが取り残されて石ごうろとなったのです。 山頂付近では風化作用で砂や粘土に変わりつつある石英閃緑岩をみることもできます。他方、1999年(平成11年)に「日本の棚田百選」に認定された室谷地区の棚田が、石ごうろの下流部から麓の方にひろがっています。この棚田の端には、山から崩れてきた大人の2倍以上もある大きな岩塊が残っています。 大麻山山頂には高さ10.2mの展望台があります。そこからの眺望はたいへんすばらしく、晴れた日には山陰海岸の様子が一望の下に見渡せます。 石ごうろが4箇所で見られる大麻山の南側斜面 アクセス国道9号の折居より県道一の瀬折居線を約4kmほど入り、城浴から大麻山神社に向かって市道大麻山線を登ります。社務所手前から右手の林道大麻山線に入ると、林道の中間あたりに駐車場があり、ごうろ観察に適した遊歩道も整備されています。社務所からさらに登ると大麻山山頂に着きます。 関連する情報しまねの自然:http://www.geocities.jp/naka680229/shimane100/goro.html 天然記念物などの指定情報なし 地質学的な意義大麻山山麓に分布する赤色風化した古崖錐堆積物(高位段丘に相当)には、石英閃緑岩の礫が含まれています。しかし、それに覆われる都野津層には含まれていません。このことから、都野津層堆積後に大麻山の急激な隆起が発生し、さらに更新世の風化作用が加わって、岩塊流のもとになった岩塊を含んだ土砂の崩落が進行したと考えられています。 大麻山は白亜紀末(約7000万年前)に形成された大麻山深成複合岩体からできています。この岩体は北東−南西方向に伸びた形で分布しており、石英閃緑岩、花崗閃緑岩、花崗岩およびアプライト質花崗岩からなります。江の川以東には、塩基性から酸性への組成変化が認められる因美期貫入岩類の分布が知られています。本岩体はその西方延長にあたるものと考えられています。 |