[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ野山岳(のやまだけ)は新生代のアルカリ玄武岩よりなる山で、周囲との標高差100mほどの小さな山です。かつてはその形から大糞山(おおぐそやま)と呼ばれていました(写真1)。 西南日本内帯に広く分布する新生代のアルカリ玄武岩はしばしば超塩基性〜塩基性捕獲岩を多量に包有しており、上部マントルや地殻下部の情報をもたらすものとして重要なものです。しかし多くのアルカリ玄武岩体は侵食などのために、分布が貧弱であったり露出が不十分なものばかりです。ここ野山岳には市道の建設工事にともなう良好な露頭があり、観察に適しています。現在は多少、植物も繁茂していますが、道路脇には貴重な露頭が残されております(写真2)。
野山岳の地質は、北側には石英閃緑岩が、南側には三郡変成岩類が分布し、その基盤上をまず火山砕屑岩が覆い、その上にアルカリ玄武岩溶岩が重なっています(図1)。この火山砕屑岩と溶岩の境界面などから、野山岳は、地表付近でラッパ状に広がった構造と考えられています(図2)。 露頭は市道に沿ってこの野山岳を回り込むように分布しており、多少草に覆われているものの、観察することができます。火山砕屑岩の部分は露頭条件が悪く観察には向きませんが玄武岩溶岩は各所に露頭がみられます。 露頭に近づくと玄武岩の溶岩に含まれている、捕獲岩が観察できます。捕獲岩は大きさは直径1cmから3cm程度で、その約半分が淡い緑色のかんらん岩、半分が暗濃緑色の輝岩よりなります(写真3)。 アクセス浜田市役所三隅支所より県道304号を東に約6km、井野郵便局の南東500m付近が入口(自家用車で約10分) 。 関連する情報文献:平井寿敏(1983):島根県, 野山岳のアルカリ玄武岩質火山噴出物とその包有物の産状について,岩石鉱物鉱床学会誌78, 211-220, 1983 天然記念物などの指定情報なし 地質学的な意義西南日本内帯に広く分布する新生代のアルカリ玄武岩は、しばしば超塩基性〜塩基性捕獲岩を多量に包有し、上部マントルや地殻下部の情報をもたらすものとして重要です。とくに野山岳は、市道の建設に伴う掘削で、玄武岩質火砕岩や玄武岩溶岩の連続する露頭が観察しやすくなりました。 |