出雲地方のジオサイト

船通山と鳥上滝

島根県仁多郡奥出雲町横田

カタクリのお花畑が広がるハイキングコースで、中国山地の地形や岩石を観察できます。


キーワード:道後山面 カタクリの花 名水 火山岩 白亜紀 

(執筆:小豆澤 薫)

地図
国土地理院発行1:200000地形図「高梁」より

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みどころ

写真1

船通山(せんつうざん)は島根県の南東端部、鳥取県境に位置し、一帯は比婆道後帝釈国定公園に指定されています。標高は1142.5mで山頂は広く遠望がきき、大山、三瓶山はもとより、条件が良ければ遠くに隠岐島も見ることができます。スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治しその尾からアメノムラクモの剣を得たという神話の地であり、頂上にはそれを記した記念碑があります。頂上一帯では4月終わり頃には、カタクリの花の大群落がいっせいに開花しお花畑となります。

船通山およびその周辺を構成する地質は後期中生代(白亜紀)の火山岩類であり、その中でも流紋岩〜デイサイト質の溶岩および凝灰岩が分布しています。これらは、渓流沿いにつけられた登山道の露頭で観察できます。粒状の石英や長石の結晶が点在する暗色の岩相のものが多く、新鮮なものは硬質です。

写真2

鳥上滝(とりかみたき)は島根県側から二つあるうちの鳥上滝登山コースの中間部にあり、高さ16 m、島根名水百選に選ばれた清水が涸れることなく流れ落ちており、斐伊川の源流でもあります。滝は縦方向に亀裂の入った白亜紀火山岩類の岩壁の間を縫っており、左横にはこの火山岩類の亀裂を割って成長し、幹回り5.5mの勇姿を誇り天然記念物に指定されていた「石割りケヤキ」の、今は枯れてさびしい姿を見ることができます。

写真3


アクセス

出雲、松江方面から国道314号線または大仁広域農道にて横田町へ、さらに地方道横田伯南線の途中から標識に従う。


関連する情報

島根県環境生活部自然環境課:http://www.pref.shimane.lg.jp/environment/nature/shizen/shimane/shimane_kouen/


天然記念物などの指定情報

比婆道後帝釈国定公園


地質学的な意義

船通山を含む中国地方の骨格を作る山地の頂部は標高1000m前後で一定しており、地形学的に過去の地形面を示すものとして高位面(道後山面とも言う)と呼ばれます。中国地方ではこのほか中位面として有名な吉備高原面(400〜600m)、そして低位面として瀬戸内面(200m前後)があります。

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