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宍道断層

松江市鹿島町古浦〜鹿島町七田

宍道断層の少なくとも一部は活断層と判定されています。

キーワード:活断層 右横ずれ断層 谷の屈曲 閉塞丘 鹿島断層

(執筆:小豆澤 薫)

地図1 地図2
左:地形図1(国土地理院発行1:25000地形図「恵曇」より)
上:地形図2(国土地理院発行1:25000地形図「加賀」より)


[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義]


みどころ

写真1

宍道断層は,ほぼ東西に伸びる島根半島に平行して中海北岸から鹿島町古浦をへて十六島湾の先端方向へ伸びる断層ですが、このうち古浦から東方約20kmの区間で断層地形が明瞭であり、この区間については,種々の調査結果より活断層と判断されています。

断層地形とは、断層運動により地表が移動したり、破砕された地層が差別侵食されたりしてできる地形で、山麓に連続する三角形末端面や分離丘、直線状の谷や、鞍部の連続、平坦地に連続する小崖などで、航空写真や地形図をもとに判読します。

活断層は,断層の中でも地質年代のごく最近(第四紀後半)に繰り返し活動したもので、今後も活動が予測される断層を言います。活断層であるかどうかは、その最新の活動が少なくとも数万年前以降であることを判断材料にしますが、そのためには直接地表を掘削して、断層を確認し変位している地層の年代を明らかにする必要があります。地形的には先に述べた変位地形の中で谷の横方向のずれを重要視します。谷は現在つくられつつある地形で、これが不自然に変形することは断層により水平方向に移動しつつあることを示します。

古浦から東方、特に南講武から七田にかけて東西に直線状の谷が発達しますが、この谷の南側山地に刻まれた数本の沢は共通して下流が東側へ曲がっており、この曲がり点を結んだ線上が活断層と判断され、断層を境に北側の地塊が東方へ相対的に移動しています。

この変位地形は現地では樹木などにより分かりにくいですが、一部耕作地となっているところで観察できます。また佐陀本郷の旧鹿島町役場付近の佐陀川南岸側山麓でも分離丘や、谷出口をふさぐ閉塞丘などの断層地形を見ることができます。

図1

写真2


アクセス

エリアが広いので車での移動が適する。松江市内中心部より県道松江恵曇線を車で約30分


関連する見学場所と情報

古浦海岸の貝化石露頭。古浦ヶ鼻の貴重な熱水変質鉱物産地

エリアの中央部、北講部に温泉施設「鹿島多久の湯」があります。

参考文献:中田 高・後藤秀昭、1998、活断層はどこまで割れるのか?−横ずれ断層の分岐形態と縦ずれ分布に着目したセグメント区分モデルー、活断層研究、17,43−53.


天然記念物などの指定情報

なし


地質学的な意義

宍道断層は島根半島を形成する新第三紀層の構造に関係する地質断層ですが、その一部が活断層であり,この部分を別に「鹿島断層」と呼ぶ場合があります。(中田・後藤1998)

このエリア内では活断層であるかどうかを確認するため、数箇所の試掘(テストピット)が行われています。これらは調査後埋め戻されていますが、写真を含め多くの資料が公表されています。

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