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白島海岸

島根県隠岐郡隠岐の島町西村・伊後地域

海岸を構成する岩石が白いことが名前の由来です。ここでは大小の島々が散在し、多くの波食洞が見られることから名勝地として有名です。


キーワード:重栖層 流紋岩 粗面岩 中新世 白島崎玄武岩


(執筆:村上 久)

地図
国土地理院発行1:25000地形図[西村]より

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みどころ

全景

写真1:白島展望台より望む(写真提供:隠岐の島町)

  白島海岸は島後の北端に位置しており、海岸を構成する岩石が白いことが名前の由来です。ここでは大小の島々が散在し、多くの波食洞が見られることから名勝地として有名です。駐車場から徒歩3分ほどにある展望台から眺めると、北の島々と岬は白い岩石、岬の東側は黒っぽい岩石で構成されていて、地質の違いが鮮明にわかります。また黒っぽい岩石は小さな島が多く、海がおどろくほど青く澄んでいることがわかります(写真1)。


アクセス

 自家用車あるいはレンタカーを利用する場合は、西郷港から原田・中村を経由して白島入り口まで約40分。原田・五箇経由あるいは大久・布施経由で約50分。白島入り口から約1kmに駐車場あり。中村から遊覧船で周遊可。


関連する情報

産業技術総合研究所,西郷図幅説明書(2009年出版)

隠岐の島町: http://www.town.okinoshima.shimane.jp/


天然記念物などの指定情報

大山隠岐国立公園特別保護区、1938年,国指定,名勝天然記念物.オオミズナギドリ繁殖地


地質学的な意義

白い岩石は、いまから550万年ほど前に噴出した流紋岩や粗面岩(アルカリ成分を多く含む中性の火山岩)で重栖層と呼ばれ、岬の先端から松島・黒島は流紋岩、その沖合の沖ノ島・白島(田島)・小白島は粗面岩でできています。白島ではドーム状の溶岩が観察され、沖ノ島では先に噴出した粗面岩を切って次の粗面岩が噴出した火道の様子や溶岩が垂直から水平へ形を変えて流れ出る様子が観察できます(写真2)。

写真

写真2:沖ノ島に見られる粗面岩の火道

黒い岩石は、今から約280万年前に噴出した玄武岩質の火砕岩や溶岩で、白島崎玄武岩類と呼ばれ、帆掛島一帯の小島や雀島もこの岩石で構成されています。ここでは玄武岩マグマの水蒸気爆発などを示す火砕岩の波状の層理あるいは斜交層理が見られます(写真3)。溶岩には輝石やカンラン石の斑晶が多く見られ、マントル由来の岩石や流紋岩、片麻岩からなる最大径5cmの捕獲岩も多く見られます。流紋岩はマグマが冷え固まるときにできた割れ目(節理)が発達していて節理に沿って浸食されやすいことや、玄武岩類が非常にもろく風化や浸食を受けやすいことから、無数の入り江や小島が形成されたと考えられます。

写真

写真3:白島岬の東に分布する玄武岩溶岩と火砕岩
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