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代のフィーダー岩脈

島根県隠岐郡隠岐の島町代地内
(代港南側のゴロタ浜)

 代のフィーダー岩脈は、隠岐島後の北西端に位置する代港横の崖で観ることができます。


キーワード:重栖層 フィーダー岩脈 流紋岩 粗面岩 中新世


(執筆:浜崎 晃)


国土地理院発行1:25000地形図[隠岐北方[都万]]より

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みどころ

写真1:フィーダー岩脈全景

 代のフィーダー岩脈は、隠岐島後の北西端に位置する代港横の崖で観ることができます。
フィーダー岩脈とはマグマの通路(フィーダー)において、充填するマグマが固結することで岩脈となったものです。ここで観察されるのは、代港南側の崎山周辺や代港北側に分布する粗面岩の供給源です。マグマの通路(フィーダー)を充填するのは約550万年前に貫入した粗面岩です。岩脈の左側(北側)は流紋岩溶岩、右側(南側)では凝灰角礫岩と接触しています。
 海岸線には崩れ落ちた粗面岩の転石が点在しており、その上に乗るとフィーダー岩脈露頭の全体を見渡すことができ、粗面岩マグマが下から上に向かって貫入してきた様子を観察できるようになっています。


アクセス

島根県隠岐郡隠岐の島町代地内(代港南側のゴロタ浜)
西郷港(フェリー岸壁)から車で国道485号を五箇まで北進し、五箇から西郷都万郡線で代港に向かいます。所要時間は約30分です。
駐車場(代港周辺の空き地)、トイレ無し、展望台無し、自然観察路無し。


関連する情報

参考文献:
・風待ち海道倶楽部。隠岐島エコツーリズム OKIまるごとミュージアム
・沢田順弘・角替敏昭・山崎博史・小林伸治・村上 久(2000)隠岐島後。日本地質学会第107年学術大会 見学旅行案内書 2000年 松江。P126-129


天然記念物などの指定情報

大山隠岐国立公園特別地域


地質学的な意義

 フィーダー岩脈の左側(北側)は流紋岩溶岩、右側(南側)では凝灰角礫岩と接触しており、それぞれ接触部分の詳細が観察できます。それぞれの接触部では粗面岩マグマが急冷されている様子が観察できます。特に南側の凝灰角礫岩との接触部では、フィーダー岩脈の粗面岩マグマが凝灰角礫岩中にまで貫入している様子を観ることができます。このことは、フィーダー岩脈の貫入前にはすでに凝灰角礫岩は存在していたことを示しています。このような詳細な露頭観察と周辺での地質分布形態からこの場所における地質の活動順序を推定することができます。ここでの活動順序は(1)北側の流紋岩溶岩の形成、(2)南側の凝灰角礫岩の形成、(3)粗面岩フィーダー岩脈の貫入と推定できます。

写真2:フィーダー岩脈北側の流紋岩溶岩との接触部 写真3:フィーダー岩脈南側の凝灰岩角礫岩との接触部


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