[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ油井の池は、隠岐島後の西海岸近くの標高約50mに位置した直径約250mの円形の池です。その大部分は湿性草原となっており、一部に水域が存在しています。池の中央部には木が生えていますが、これら草木が生えている部分は浮島になっています。このような湿地環境は隠岐島後では珍しく、貴重な動植物の生息地となっています。 また、池の周辺は森林となっており、さらにその東側には馬蹄形状の崖が切り立っています。この急崖は粗面岩の溶岩から成っていることから、油井ノ池の円い地形は、島が形成された頃の活発な火山活動時(約500万年前)の「爆裂火口」ではないかという考えがあります。しかし、隕石衝突でできた「クレータ」や巨大地すべりによってできた「頭部陥没帯」などの説もあります。 池周囲には展望台や自然観察路が整備されており、貴重な動植物やダイナミックな地形を観察できるようになっています。 アクセス西郷港(フェリー岸壁)から車で西郷都万郡線を都万方面に向かう西回り経路と、国道485号で五箇まで北進し、五箇から西郷都万郡線で都万方面に向かう東回り経路があります。いずれの経路も所要時間は約40分です。 駐車場、トイレ、展望台、自然観察路あり。 関連する情報隠岐の島町: http://www.town.okinoshima.shimane.jp/ 風待ちスタジオ: http://kazematikaidou.gozaru.jp/ 隠岐観光協会: http://www.e-oki.net/ 参考文献: 風待ち海道倶楽部(2007)隠岐島エコツーリズム OKIまるごとミュージアム 村上 久(2005)隠岐島後の特異地形−油井の池−。島根県地学会会誌20.6 村上 久・山内靖喜(2006)島後で最近発見された向ヶ丘層について。隠岐の文化財第23号。p1-21 天然記念物などの指定情報大山隠岐国立公園特別地域 地質学的な意義「油井の池はどのようにしてできたか?」これについて過去から様々な説がありました。池周辺でのボーリング調査により、池とその東側の急崖との間には不揃いの礫を含む地層が存在することが明らかとなりました。さらに最新の調査ではこれらの地層は鮮新世の海成堆積物(向ヶ丘層)であることが分かってきました。つまり、現在の油井の池周辺は鮮新世には海底であり、向ヶ丘層の堆積後、鮮新世末から更新世には隆起したことを意味しています。このことから油井の池を取り囲む急崖は、島後が沈降していた時の海の波浪によって形成された海食崖であり、隆起時に発生した巨大な地すべりによって堆積物が移動し、現在の地形が形成されたものと考えられます。したがって、油井の池は巨大地すべりの頭部陥没帯に水が溜まってできた天然の池であると考えられます。 |