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入月 俊明教授(Prof. Toshiaki Irizuki)

   出身 : 静岡県富士市(旧富士川町)

   誕生日 : 1964年水瓶座

   血液型 : AO型

   趣味 : 釣り(川も海も),毛針(フライ)作り,読書(歴史もの),魚と虫を採って飼うこと,お酒

   学生にいいたいこと : 2歩先を読め.


学歴・職歴と賞罰

   ■学歴■

      静岡県立清水東高等学校卒業(S57.3)
      東北大学理学部地学科地学第一卒業(S61.3)
      東北大学大学院博士課程前期地学専攻修了(S63.3)
      東北大学大学院博士課程後期地学専攻修了(H4.3)


   ■職歴(専任)■

      愛知教育大学教育学部地学教室助手(H6.4~H8.12)
      愛知教育大学教育学部地学教室助教授(H9.1~H14.2)
      島根大学総合理工学部地球資源環境学科 助教授(准教授)(H.14.3~H22.11)
      島根大学総合理工学部地球資源環境学科 教授(H22.12~現在に至る)


   ■賞罰■

      日本古生物学会論文賞(H6.1)
      日本古生物学会学術賞(H19.6)
      島根大学研究功労賞(H20.9)
      日本地質学会優秀ポスター賞(H22.9)


専門分野・研究について

   ■専門分野■

      古生物学,地質学


   ■所属学会■

      日本古生物学会,日本地質学会,日本第四紀学会,日本堆積学会,汽水域研究会,地学団体研究会,島根県地学会,名古屋地学会など


   ■研究テーマ■

      化石(生物遺骸)と地層(堆積物)の調査を通じて,地球環境の変化や生物進化・生物多様性の変化を復元する研究を行っています.具体的なテーマは以下のようです.


    1.閉鎖的海域の環境変化:


      瀬戸内海など外海と隔てられた閉鎖的内湾では,近年,人間活動による有機汚濁や富栄養化などが底生生物(ベントス),浮遊生物(プランクトン),および遊泳生物(ネクトン)
      に様々な影響を与えてきています(図1). そこで,このような場所で海底表層の砂泥や柱状堆積物(コア)を採取し(研究風景参照),中に含まれる生物(主に甲殻類の貝形虫や
      珪藻,図2)や堆積物の分析を行い,数千年前の自然の環境変化(レジームシフトなど)や最近の人為的環境改変が生物の多様性や生産性に与えた影響を調べています.この
      研究では,いつのどのような環境が理想的か,どのような環境変化が起きると生物に影響が現れるのかを解明し,今後の環境対策等に役立てることができます.一つの成果と
      して,瀬戸内海の多くの場所で1960~1980年に底質の有機汚濁に伴い貝形虫群集が劇的に変化したことが明らかになりました(図3).



図1.閉鎖的内湾における環境.三河湾研究会(1997編)をもとに作成.


図2.様々な貝形虫(カイミジンコ,介形虫,貝虫)の殻(化石)の電子顕微鏡写真(左,スケールは0.1mm,広報しまだい,no.4より)
 と珪藻の光学顕微鏡写真(右,スケールは0.02mm, 吉岡,2009MSより).貝形虫は唯一化石として多産する小型底生動物で,サイズは1mm
 程度で,湿地から深海までのあらゆる水域に生息します.発光するウミホタルもこの仲間で,オルドビス紀(5億年前)以降出現し,現在
 まで繁栄しています.珪藻は単細胞藻類で,ケイ酸塩の殻を持ち,化石として保存されやすいです.時として赤潮の原因となります.


図3.周防灘中央部における貝形虫の群集変化(Irizuki et al., 2011を改変).


    2.鮮新世以降の日本沿岸の環境変化と生物進化:

      今から350万年前前後(新生代新第三紀鮮新世の中期)は世界中暖かかった時代と考えられています.また,それまで対馬海峡が閉じていたため,閉鎖的だった日本海へ暖流
      が入り始めた時代と考えられています.その後,約4.1万年周期で寒い氷期と暖かい間氷期のサイクルが明瞭になりました.この研究では様々な化石や地層の解析を行って,こ
      の頃の日本沿岸の海洋環境を復元しています.また,汎世界的な海水準変動と地域的な構造運動による地形の変化,陸橋の形成と崩壊などの地質学的イベントと,甲殻類の
      貝形虫の種分化パターンや移動経路との関連性を,地質学的および生物学的立場の両面からを調べています.現在の日本海は水深200 mより深くなると水温が5℃以下になっ
      てしまうのですが,当時の間氷期はまだ暖かかったこと,貝形虫群集が周期的に変動していたこと等が解明されつつ有ります(図4).



図4.新潟県胎内市の鍬江層に見られる深海の寒冷性貝形虫種と温暖性貝形虫種の時系列変化(Irizuki et al., 2007).島根大学お宝研究Vol.2より.


    3.西南日本から産する中新世の化石:

      島根県を始めとした中国山地,近畿地方,中部地方にかけては今から1800~1300万年前頃の前期中新世から中期中新世の年代を示す地層が点在しています.これらからは
      化石が多産します.例えば,松江市周辺の布志名層,岡山県北部の勝田層群,広島県北部の備北層群,京都府の綴喜層群,三重県阿波層群,岐阜県の瑞浪層群,長野県
      富草層群などです.これまで多くの研究がなされてきましたが,まだまだ新しい地層が露出した時などは化石が多産し,地層も詳しく分析すると新しい知見が得られます.このよ
      うに,地質調査と化石試料採取を行い(研究風景参照),当時の古環境を復元し,生物相をすべて描き尽くすための研究を行っています.



図5.中国地方の中新世の地層から産出する貝類化石.
左:ヤマトビカリア,右上:イズモノアシタガイ,右下:フジナウバトリガイ


    4.津波・地震イベントに関連した環境変化:

      過去約1万年間(完新世といいます)に起きた津波や地震イベントによって,どのように環境が変化したか,また津波堆積物はどのような海域からどこまでもたらされたのかを解
      明するため,地層や堆積物の特徴を調査し,中に含まれている微化石や堆積物の分析について,産業技術総合研究所を始めとする学外の研究者と共同で行っています.これ
      までに,神奈川県三浦半島,千葉県房総半島,静岡県御前崎・浮島ヶ原・伊豆半島などで研究を行ってきました. 図6は房総半島で行われた研究結果の一例です.



図6.房総半島の縄文時代の地層(内湾堆積物)に認められた津波堆積物と含まれる貝形虫化石.島根大学お宝研究Vol.3より.

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担当科目

   ■学部■

      地球科学基礎演習,地層学実習,地球科学野外実習I~Ⅲ,進化生物学,古生物学実習,地学通論,生命現象,地学実習,
      環境地質学セミナー,地球資源環境学外国語文献講読.

   ■大学院(前期過程)■

      地球資源環境学基礎,進化生物学特論,環境地質学セミナー,特別研究.

   ■大学院(前期過程・特別プログラム)■

      Evolutionary Paleontology, Seminar, Earth and Geoenvironmental Science, Earth and Earth Resource Science, Thesis Research

   ■大学院(後期過程)■

      海洋資源循環学,論文研究,特別セミナー,特別計画研究,特別研修実習I~Ⅳ

   ■大学院(後期過程・特別プログラム)■

      Micropaleontology, Thesis Research, Special Scheme Research, Social Practice I~Ⅳ, Seminar






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