島根県大田市の長谷鉱山で採掘されるゼオライト(沸石)という資源鉱物からなる岩石です.淡緑色をした硬質の岩石で,約1500万年に堆積した凝灰岩に熱水が浸透して変質したことにより形成されました.よく見ると写真の中央に白っぽい脈が見えます.これが岩石に熱水が浸透した痕跡のひとつです.白い脈はアモルファスシリカと石英からできています.
熱水の通過跡(白い脈)を切り出して,厚さが0.5mm以下の薄い小さな板を作り,両面を鏡のように研磨して,高倍率の光学顕微鏡で観察すると右のようなものが見えます.これは石英の中に取り込まれてた大昔の熱水で,流体包有物といいます.中央の丸いものがあぶくで,その周りが液体です.鉱物が形成された当時の熱水が取り込まれたものです.資源の形成に関与した1500万年前の熱水を直接調べることができるのです.
試料を300℃程度までゆっくりと加熱したり,あるいは液体窒素で-50℃まで冷却して凍らせたりしながら,流体包有物の挙動を詳しく観察すると,当時の熱水が捕獲された時の温度や塩濃度を知ることができます.これがそのための加熱冷却装置で,顕微鏡のステージに載っているセルの中に試料が入っています.
微細脈の試料には精密切断機(右上)が欠かせません.
非金属資源と熱水活動

10μm