山陰防災フォーラム準備会ー講演会



第一回:「緑化工を取り巻く現状と課題」
      田中賢治 (国土防災技術株式会社・緑環境事業部長)


(講演ビデオファイル 準備中)
 従来の斜面緑化では,生長の早い外来性のイネ科草本類等が斜面の表面浸食を緩和するために用いられてきた経緯があります。しかし,近年においては外来生物法によって特定外来生物被害の防止が行われており,このような流れに沿って斜面緑化においても道路土工切土工・斜面安定工指針が平成21年6月に改訂されて,周辺の生態系に配慮した緑化手法として森林表土利用工,自然侵入促進工が追加されました。
 今回は,新しい外来性の植物を防除する手法や周辺の生態系に配慮した緑化手法についての事例紹介を行います。

田中賢治氏プロフィール:
1988年島根大学農学部林学科卒業後,国土防災技術株式会社入社,現在は本社緑環境事業部長。日本全国の荒廃地斜面の土壌を採取し,土壌の理化学性を評価した緑化手法の研究を進めています。
資格:技術士(総合技術監理,森林,農業部門)
学会活動:日本緑化工学会編集委員会幹事,同斜面緑化研究部会幹事




第二回:「減災のための災害地下水調査法の必要性」
      竹内篤雄 (自然地下水調査研究所・所長)


(講演ビデオファイル 準備中)
 
近年、極端気象や巨大地震の発生に伴って、地下水に起因した多数の地盤災害が発生し、多くの人的経済的被害が生じている。この被害を少しでも減少させるためには地盤災害に悪影響を及ぼす地下水の実態を正しく把握する必要がある。ここでは、地盤災害に直接関与している地下水の姿を現地観測に基づいて明らかにし、それを把握する手法として「災害地下水調査法」を提案し、その手法について紹介させて頂く。

竹内篤雄氏プロフィール:
1983年4月から京都大学防災研究所に勤務し、2004年3月に退官するまでの間、主に地すべり調査法の研究に従事。この間全国の地すべりを調査し、地すべり活動に関与している地下水に興味を抱き、その実態を把握するために、温度測定による地下水調査法の開発を行ってきている。これによって「地すべり学会論文賞」並びに「日本地下水学会技術賞」を授与された。
資  格:京都大学理学博士、技術士(応用理学)
学会活動:地温調査研究会代表、ジオテク研究会代表幹事




第三回:災害のメカニズムをわかりやすく伝えるための「模型実験」
      藤井俊逸 (藤井基礎設計事務所 取締役技術部長)


(講演ビデオファイル 準備中)
 
土が崩れるのを守っている擁壁の役割や、地すべりが過去にできたバナナの皮のような面で移動することなど、一般の人に対してお話する機会は割と少ないのではないでしょうか?一般の人に理解しやすいように、わかりやすく説明することが、今後ますます求められてきます。今回ご説明する「模型実験」は、皆さんの良く知っている材料を使って、複雑な機構を単純化して説明するものです。目の前でライブ実験をします。

藤井俊逸氏プロフィール:
1983年3月名古屋工業大学土木工学科卒業、1985年3月同大学院修了。大学時代は、松岡元教授に粒状体力学を学ぶ。
1985年4月現藤井基礎設計事務所へ入社し、①地盤関係の調査設計、②斜面・地すべり設計、③トンネル設計、④特殊工法設計(ジオテキスタイル、SPC工法、EPS工法)の設計、⑤機械開発(標準貫入試験自動記録装置、計測結果のネット配信システム)などを行っている。
資  格:技術士(建設部門 土質及び基礎)住宅地盤主任技士(調査/設計施工部門)
その他活動:中国地質調査業協会島根県支部 技術委員長
土木学会斜面工学研究小委員会 広報副委員長
EITAC(弾性波診断技術協会)  技術委員長




第四回:地震工学研究の最前線 --最近の国内外の地震被害調査から--
      宮島昌克 (金沢大学理工研究域環境デザイン学系・教授)


(講演ビデオファイル 準備中)
 世界各地で大きな地震災害が頻発しています.我が国も東南海、南海地震や東京直下型地震の再来が危惧されています.これらの地震では、現代社会がこれまでに経験したことのない、新しいタイプの災害の発生が予想されます.このような新しいタイプの災害に対応するための先取り地震防災研究の必要性が指摘されています.
最近の国内外の地震被害調査から,今後顕在化してくる新しいタイプの災害を予想し,それに備えるための研究について紹介します.

宮島昌克教授プロフィール:
1981年金沢大学大学院修士課程修了後,金沢大学助手.1990年京都大学工学博士.米国コーネル大学客員助教授,金沢大学助教授を経て,2000年金沢大学教授,現在に至る.土木学会地震工学委員会地震被害調査小委員会委員長,地盤工学会理事,日本自然災害学会評議員などを歴任.専門はライフライン地震工学.




第五回:斜面災害研究の最前線 --国内外の地すべり調査とメカニズム研究--
      福岡 浩 (京都大学防災研究所・斜面災害研究センター・准教授)


(講演ビデオファイル 準備中)
 2008年の岩手・宮城地震などの大規模地震や地球温暖化に起因すると言われる異常な豪雨による斜面災害が各国で頻発しています.特に高速・長距離運動地すべりは多くの犠牲者と被害をもたらしており、今後、世界的に丘陵地の開発とともに斜面災害はより深刻になっていくことが予想されています。地すべりダムの形成による洪水発生の危険、地震と豪雨が重なった場合の発生予測など未解明の課題も山積しており、新たな分野からの研究者の参入が期待されています。今回は国内外の斜面災害現地調査と室内実験から得られたメカニズム等を紹介します.また島根大生の京大大学院への挑戦も期待します。

福岡 浩 准教授プロフィール:
1992年京都大学大学院理学研究科博士課程(地球物理学専攻)修了後,日本学術振興会特別研究員を経て,1993年京都大学防災研究所助手,1996年同・助教授、2004年同・准教授、現在に至る.(社)日本地すべり学会理事、国際斜面災害研究機構会計理事などをつとめる.専門は地すべり学.