[みどころ | 交通 | 関連情報 | 指定 | 地質学的な意義] みどころ大根島は、今からおよそ20万年前の更新世のころ、現在よりも寒冷な気候で海水面が低かった時代に陸上で噴出した玄武岩溶岩よりなる火山です。玄武岩溶岩は溶岩の粘性が極めて低いため、中央の大塚山を除いて、その地形勾配は1〜3度ととても緩やかなものです。 中央の大塚山はその噴火口のひとつです。玄武岩マグマが噴出する際に著しく発泡した岩石が火口の周辺に積もりますが、この発泡した岩石はスコリア(岩滓)と呼ばれるもので大塚山はスコリア丘と呼ばれる小山です。残念なことに現在は削られ、公園となっていますが、この公園への進入路などでスコリアを観察することができます(写真2)。
大根島の周縁部においては、中海の侵食作用で溶岩が洗い出された露頭を観察できます。これらの露頭や、島根地質百選「大根島の溶岩トンネル」で紹介する二つの溶岩トンネルでは様々な溶岩や火山地形を観察することができます。 大根島波入の海岸の弁天島付近では、柱状節理、テュムラス、淡水レンズの観察ができます。 弁天島付近の海岸には六角形または五角形の割れ目で直立した玄武岩がみられます(写真3)。この割れ目は玄武岩溶岩が徐々に冷却する際の体積収縮によって生じた柱状節理と呼ばれる割れ目で、一般に溶岩の広がり方向に直交する方向に生じています。大根島では溶岩は緩い勾配で流れていますから、柱状節理は直立した状態で観察できます。 また、弁天島の南東の海岸には、海水面すれすれのところに円形の岩礁がみられます(写真4)。これは、溶岩が火山ガスなどの圧力でドーム状に盛り上がる「テュムラス」と呼ばれる火山地形が侵食されたものと考えられています。波が穏やかなときには、岩礁づたいに行って観察することもできます。 この弁天島付近など大根島縁辺部には湧泉がみられます(写真5)。弁天島付近では、海面とほぼ同標高の淡水を湛えた池が海岸からわずか数メートルのところに観察できます。大根島の地下にたまった淡水は、中海の汽水とは混ざりにくく、レンズ状に島の内部に押し込められた形で分布していると考えられています。これを淡水レンズと呼びます。この湧泉のひとつに島根県の名水百選に指定された「波入の湧水(はにゅうのかわ)」が知られています。 玄武岩溶岩が流れる際、その表面が縄状になったものを「縄状溶岩(パホイホイ溶岩)」といい、溶岩から発泡したガスが溶岩流の上面や下面に溜まり、溶岩の流動とともにバラバラになった構造を伴うアア溶岩といいますが、溶岩トンネルや溶岩庭園などで観察できます。 アクセスJR松江駅より松江市営バス八束町行きで40分 JR松江駅より自家用車で20分 関連する情報澤田順弘・新部一太郎・星川和夫 (2007) 「大根島のおいたちと洞窟生物」、松江市ふるさと文庫2、 松江市教育委員会 由志園 :http://www.yuushien.com/yuushien/ 大根島本陣 :http://www.daikonshima-honjin.com/ 大根島の溶岩トンネル:島根地質百選「大根島の溶岩トンネル」をご利用ください。 天然記念物などの指定情報「大根島の熔岩隧道」(幽鬼洞)は国指定の特別天然記念物に、 地質学的な意義大根島を構成する玄武岩溶岩は今からおよそ20万年前の中期更新世の火山活動で形成されたものです。当時は現在よりも寒冷な気候下にあり、陸上での氷河の発達等があったため、海水準は現在よりも60m以上低かったようです。大根島の玄武岩は海水準の低下した時期に陸上に噴出した溶岩で構成されており、溶岩の基底はほぼ平らであり、その厚さは中央の大塚山部分を除き60〜70mとなっています。 |