地球資源環境学科のJABEE認定試行
JABEE認定とは
島根大学地球資源環境学科では,2001年度に学科の教育プログラムに対してJABEE(日本技術者教育認定機構)による「地球・資源およびその関連分野」の認定試行審査を受けました.地球科学系学科としては秋田大学の2つのプログラムとともに全国で最初の試行例となりました.
こうした技術教育の認定審査はわが国では2000年度から開始されています.多くの技術分野のなかで,「地球・資源およびその関連分野」は2001年に確立されました. 認定試行は本格的な審査の予備段階として行われているもので,入学から卒業までの教育内容・システム・実験設備・教員の資質などすべてが評価の対象となっています.
技術教育における認定の必要性
「技術者教育」という場合の「技術」は現在一般に認識されているものより広い概念です.理工系学科の教育を受けて,卒業後にそれを活かした職についた場合,すべて「技術者」と呼ばれることになります.
こうした「技術者」を認定するのにわが国では古くから「技術士」という制度がありました.これは社会に出て一定の経験を積んで試験にパスさえすれば,その資格が得られます.一言でいうと「経験」と「能力」です.しかし,この資格取得システムは世界各国で同じではなく,わが国のシステムは欧米のものとは基本的に違っています.ヨーロッパやアメリカ合衆国では「経験」や「能力」に加えてどのような「教育」を受けてきたかが必要です.
技術の国際化が急速に進むなか,主要国の間では「技術の相互認定」が行われるようになってきました.しかし,上記のようにシステムが異なるという理由で,現時点ではわが国の「技術士」はこの「技術の相互認定」には加わることができません.加わるには大学の「技術者教育」が一定の基準を満たしていることを説明しなければなりません.こうした認定の必要性から設立されたのが日本技術者教育機構(JABEE)であり,2000年度からわが国の様々な技術分野で認定審査が開始されました.
島根大学地球資源環境学科における認定試行の経緯
技術教育認定には,日本技術者教育機構(JABEE)の設定した「基準」を満たさねばなりません.これにはすべての技術分野に共通の「基準」と「分野別基準」があります.ただし,教育には各大学の独自性や個性があってもいいわけですから,認定を受けようとする大学側(プログラム側)では,学生の入学から卒業までの間にどのようなことを修得すべきかの独自の「学習・教育目標」を示すことが必要です.この目標は上記の「基準」を網羅したものでなければなりません.
こうした各プログラムの「学習・教育目標」をもとにして,それを具体的に実現していく教育内容とレベル,そして学生が卒業までにそれをマスターしていることなどを説明できた場合に技術者教育が認定されることになります.
これには1回生から4回生までに行っているの教育内容とシステム,学生の授業時間数,定期試験内容,試験の合否判定基準,実験設備,学内の諸施設,教員の資質などがかかわってきます.プログラム側ではこれらの資料を整理して「自己点検書」を提出し,審査チーム(8名)がこの中身を詳細にチェックしたのち,それに基づいて「実地審査」をするというのが基本的な流れです.
実地審査では学生・卒業生,教員の面談が行われ,個々の科目の試験問題と結果などがチェックされます.また,図書館なども含めた教育・実験設備のチェックがあります.
島根大学地球資源環境学科の認定試行概要
対象プログラム名 | : 地球資源環境学科の教育プログラム |
高等教育機関名 | : 島根大学・総合理工学部・地球資源環境学科 |
認定分野 | : 地球・資源及びその関連分野 |
幹事学会 | : (社)資源・素材学会 |
審査チーム | |
審査長 | : 佐倉保夫(千葉大学 理学部 教授) |
審査員 | : 千木良雅弘(京都大学 防災研究所 教授) : 汲田啓一(日本鉱業協会 技術部 部長代理) |
オブザーバ |
: 山富二郎(東京大学大学院 工学系研究科教授) : 恒川昌美(北海道大学大学院 工学研究科教授) : 須藤 宏(応用地質(株) 東京支社課長) : 遠藤邦夫(日本大学 理学部教授) : 平田篤夫(崇城大学 教授) |
認定試行の経緯
2001. 06. 15 | 日本技術者教育認定機構から認定試行校に決定の通知 |
2001. 09. 03 | 「地球・資源およびその関連分野の分野別要件Ver.20.補足説明」確定 |
2001. 10. 12 | 自己点検書提出 |
2001. 11. 20 | 自己点検書に基づく質問,不足資料要求 |
2001. 11. 27 | 質問に関して学科からの回答送付 |
2001. 12. 02- 12. 04 | 実地審査 |
2002. 01. 22 | 1次審査報告書受け取り |
実地審査の内容
(1) 面談(インタビュー) | |
教員インタビュー | 計9名 (他学科教員を含む,1人あたり約20分) |
卒業生インタビュー | 計6名 (社会人3名,大学院生3名,それぞれ約30分) |
在校生インタビュー | 計10名(4年生5名,3年生5名,それぞれ約30分) |
学部長インタビュー | (約30分) |
(2) 教育環境施設の視察 | (2班に分け,学科内と学科外を別々に視察) |
(3) 審査員とプログラム側の間の会議 | (学科の教育システムについての説明,不足資料の説明,疑問点に対する回答,その他,計4回) |
- check_circle 学習・教育目標の審査(JABEE基準,分野別要件を満たしているか)
- check_circle 授業内容と方法・時間数の審査(目標に沿った内容が教えられているか,JABEE基準の総学習時間数を満たしているか)
- check_circle 定期試験の内容・答案の審査(学生は個々の授業科目の内容を理解しているか)
- check_circle 学生の目標達成度の審査(学生が4年間で目標を達成しているか)
- check_circle 目標を達成した学生のみを修了させているか?